名古屋で弁護士をお探しなら、丸の内駅前のすずらん法律会計事務所にお気軽にご相談ください。

052-239-1220

すずらん法律会計事務所

お問い合わせ・ご相談

>
>
刑事・少年

刑事・少年

 

刑事被疑者となったら最初が大切

1 身体拘束からの速やかな解放

刑事事件の捜査は、被疑者(犯罪を犯したと疑われている人をいいます)の身体を拘束した上でなされる場合と身体拘束がなされないまま(在宅事件といわれています)捜査がなされる場合があります。

身体拘束を受けることによって生活に大きな影響を受けますので、不当な身体拘束がなされた場合は、弁護人を依頼して身体拘束から速やかに解放されるように務めましょう。

 

2 捜査段階の重要性

逮捕(72時間を超えることができない)、勾留(通常の事件の場合は最大20日間)は時間の制限があります。そのため、通常の事件の場合は身体拘束を受けてから最大でも23日の間に処分が決められることになります。身体拘束を受けた事件の場合はこの最大23日間がとても大切になります。多くの事件では、この間に取られた供述等の証拠によって裁判含めた処分の結果が左右されているといっても過言ではありません。可及的速やかに弁護人を選任して弁護人の助力を得て自らの権利を護ってください。

 

国選弁護と私選弁護の違い

国選弁護と私選弁護の違いを訊かれることがありますが、国選弁護でも私選弁護でも弁護の内容に違いはないはずです。違いがないなら、費用が安い国選弁護で良いと思われるかもしれません(もっとも、裁判員裁判では、国選弁護事件でもそれなりの弁護報酬が支払われていますので、必ずしも私選弁護より報酬が安いとは限らないように思います)。

しかし、国選弁護の場合は、原則として弁護人を選ぶことが出来ませんので、どのような弁護士が弁護人に就くかは分かりません。刑事事件の被疑者として捜査の対象になるのは一般の人にとっては人生の一大事でしょうから、出来ることなら信頼のできる経験豊富な弁護士を自ら選任して弁護を依頼した方が得策だと思います。

 

量刑事件(情状事件)と争いのある事件(無罪を争う事件等)

刑事事件には、大きく分けて犯罪事実に争いがなく、量刑(どの程度の刑になるか)が主に問題となる事件(情状事件ともいわれます)と犯罪事実に争いがある事件(否認事件ともいわれます)に分けることが出来ます。多くの事件は、量刑が問題となる事件です。量刑がどうなるかは多くの被疑者・被告人とって大きな関心事ですので、事実に争いのない情状事件であっても適切な弁護を受け、納得できる結論を得ることが極めて大切です。適切な弁護を受けなかったため、本来起訴されずに済むはずの事件で起訴がなされたり、執行猶予がつくはずの事件で実刑になってしまったというケースも少なからずあるように思います。是非捜査段階の初めから適切で充実した弁護を受けてください。

争いのある事件は、より早期に適切な弁護を受けることが不可欠です。逮捕・勾留された事件も相当数の事件が、起訴されることなく終了していますから、争いがある事件はより捜査段階の初めから適切で充実した弁護活動を受けることが大切です。有罪率99.9%といわれている我国の刑事裁判において、起訴されて裁判となり判決で無罪を得ることは、一般の人が想像している以上に難しく大変です。無実の場合は、起訴されないようにすることが最も大切です。

 

思い出に残る刑事事件

弁護士生活の中で、振り返ってみて思い出に残る事件は、刑事事件、行政事件そして民事再生事件の順に多いように思われます。弁護人として担当した多くの刑事事件の中から、特に忘れられない事件をご紹介します。

 

マスコミで大きく報道された事件
1 霊視商法事件(管長控訴審逆転無罪事件)

この事件は、密教系のお寺が行っていた水子供養等の名目で信者から供養料を受け取っていた行為が詐欺罪に当たるとされた事件で全国的にも大きく報道された事件でした。宗教活動は神、仏や霊といった目に見えないものを対象としていますので、水子供養等の名目で信者等から金銭を受け取る行為が詐欺罪に当たるか否かの判断は、非常に難しいものがあり、宗教についての見識がない者が安易に判断することは危険だと感じた事件でした。

残念ながら裁判では、対象となった行為が宗教行為としてなされた点については、深く検討されず、僧侶の霊能力についても特段の検証もなされることないまま一律に僧侶に霊を感知する能力がないとされ、供養を勧める行為は欺罔行為に当たるとされ公訴提起された僧侶が(下記私が弁護した管長を除き)全員詐欺罪で有罪となったことは弁護人として非常に疑問が残った事件でした。

私が弁護を担当した管長は、教学の責任者で教団における実質的地位はそれ程高くなく経営への関与も大きくないこと等を理由に詐欺の共謀をなしたとはいえないとして、控訴審において逆転無罪の判決が出され確定したことは、この事件の唯一の救いでした。

 

事件の詳細を知りたい方は
控訴審判決の新聞報道

 

2 国会議員の経歴詐称事件(百日裁判)

この地方において長い間ラジオのDJとして活躍していたS氏の参議院選挙に出馬した際の選挙公報の学歴の記載が虚偽であったなどとして公職選挙法違反で起訴された事件です。最高裁まで争うことになりましたが、残念ながら有罪が確定しS氏は議員を失職しました。S氏が選挙公報の記載に関与したか否かも含め争点が多義に亘る事件でしたが、判決の内容は「結論先にありき」だったように思います。「芸人に学歴は不要」として活動していたS氏が、学歴詐称容疑で有罪とされたことは誠に皮肉でした。

その後、政治家の学歴等の経歴詐称が時々マスコミを賑わせますが、経歴詐称で刑事裁判が提起されたのは今のところこのS氏だけのように思います。経歴詐称を刑事裁判として問うことにあまり意義があるとは思えないと考えられるようになったからかもしれません。私は、政治家が一番ついていけない嘘は「公約違反」だと思いますが、公約の履践についてはほとんど吟味されることなく次の選挙が行われているように思いますし、色々な政治家の嘘が検証されないまま曖昧なまま放置されていることは、法治国家の法律家として全く納得が行きません。

ところで、本件についてS氏の当選無効を争った行政裁判では、選挙無効原因に当たらないとされている(名古屋高裁平成4年12月17日判決;判例タイムズ805号249頁)ことは、一般にはほとんど知られていません。

 

事件の詳細を知りたい方は

無罪を争った事件

裁判で弁護人として無罪を争った事件も少なからずあります。残念ながら無罪主張が認められて無罪の判決が出て確定したのは、前述した「霊視商法」事件を含めてもわずか2件しか経験していません。

上記S氏の事件を含め、以下記載する事件は、弁護人として今でも冤罪と信じ有罪判決に疑問を抱いている事件です。

 

ア 誰が運転していたのかが争われた事件

20歳の男性と17歳の少女が一緒に車に乗っていて中央分離帯に激突するという自損事故を起こし、その事故で男性が死亡し少女が生き残ったという事件でした。警察は客観的証拠はないにもかかわらず最初から車を運転していたのは生き残った少女だと決めつけて捜査が進められました。少女は、運転していたのは男性で自分は助手席に乗っていただけだと一貫して主張しましたが、全く受け入れて貰えませんでした。

家庭裁判所では、裁判官は、事実を認めれば寛大な処分にすることを匂わせ、被疑事実を認めるように促しましたが、少女が頑なに否認を通したため、成人になるまで事件が事実上据え置かれた形となり、少女が成人(20歳)になってから地方裁判所に公訴の提起がなされました。地方裁判において無罪を争いましたが、残念ながら全く合理的な理由も示されないまま執行猶予付きの有罪判決が出され確定しました。

数年してから、とある場所で元少女と全く偶然に再会しました。元少女は、その時も「運転していたのは、本当に彼でした。」と司法への不信感を寂しげに語りました。その姿が今でも忘れることが出来ません。事故は、車が安全島に激突して空中に浮揚し回転しながら落下したもので、事故後の痕跡の分析から運転していたのは男性だと解するのが合理的だとする交通事故の原因の分析を多く行っている専門家の鑑定書を証拠請求しましたが、裁判所の採用するところとはなりませんでした。現場に残っていた血液の血液型も調べていない杜撰な捜査でしたが、残念ながら力足らずで、認定を変えることは出来ませんでした。

 

イ 殺人を指示したとして有罪になった事件

被告人は、殺人の実行行為者に殺人を指示したとして起訴され、結局有罪が確定して服役し、再審請求まで行いましたが、その再審請求中に刑務所において病死してしまったという事件です。

被告人に被害者を殺害する動機がなく、証拠は事実上実行犯の供述のみといえる事件でした。高裁において、弁護人の申請証拠の多くが採用され被告人控訴事件としては異例に時間を掛けた審理がなされたので、2度目の逆転無罪判決が出るのではないかと期待を抱きましたが、結局1審の判決が維持されてしまいました。実行行為に加担しなくても実行犯の供述によって事件に巻き込まれる恐怖を強く感じた事件でした。

 

死刑を求刑された事件

我国は、先進国ではめずらしい今でも死刑制度が存続している国です。死刑制度については、日本弁護士連合会、愛知県弁護士会もその廃止に向けて取り組んできていますが、死刑制度の存続を求める国民世論が強いということもあり、我国では未だに死刑制度が廃止されることなく存続しています。もっとも、死刑判決は究極の刑ということで、実際に死刑求刑がなされる事件はそれ程多くなく、そのため死刑求刑事件の弁護の経験のある弁護士は少ないと思います。その中で、私は今まで3件の死刑求刑事件の弁護を経験しました。いずれも国選事件です。死刑求刑が予想されるような困難な事件は、その弁護を敬遠する弁護士も多いこともあり、いずれも弁護士会からの強い就任依頼に応じて弁護人になることを承諾した事件でした。3件いずれも死刑判決は免れ無期懲役の判決が確定したことは、その中での救いとなっています。

 

ア ドラム缶殺人事件
イ 一家5人が殺害された事件
ウ 冷凍庫殺人事件